薬剤師の転職でドラッグストアを考えているあなたへ
「ドラッグストアって実際どうなの?」——そんな疑問、転職を考えたことがある薬剤師なら一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。
大手の転職サイトには「年収が高い」「残業が少ない」といった情報が並んでいますが、実際に働いてみないと分からないリアルな部分はほとんど書かれていませんよね。
この記事では、薬剤師歴27年・転職9回のビビネコが、ドラッグストア勤務のメリット・デメリットと向いている人を本音でお伝えします。
読み終えたとき「自分にドラッグストアが合うかどうか」がはっきりと分かるはず。転職して後悔する前に、ぜひ最後まで読んでみてください。
結論から言うと、ドラッグストアは「高収入・ワークライフバランス重視・将来は経営職志望」という方に特におすすめです。ただし、薬剤師としてのキャリアアップを重視するなら、向き・不向きをよく見極める必要があります。
ビビネコのプロフィール
参考までに、私ビビネコの経歴はこちら。
- 薬剤師歴 27年 転職歴 9回
- 総合病院 3件 計14年(調剤・製剤・IVH調製・TDM・薬剤管理指導業務)
- 美容師専門学校講師 1年(国家試験科目:衛生管理)
- ドラッグストア郊外チェーン店 2年(OTCのみ)
- 調剤薬局 4件 計9年(某チェーン薬局で薬局長1.5年含む)
- 就業形態:正社員・臨時職員・契約社員・派遣・パートと幅広く経験
転職のたびに若い薬剤師たちの悩みを聞き、キャリア相談にのってきた経験も踏まえてお伝えします。
また、ドラッグストアの詳しい仕事内容を知りたい方はこちら↓
ドラッグストアで働く12のメリット
①正社員の年収が高い
なんだかんだ言っても、年収が高いことは大きな魅力です。同じ地域で比較したとき、ドラッグストアの正社員求人は設定年収が高い傾向にあります。
ただし、パートの時給は他と比べてそこまで高くありません。パートで働くなら、土日を休みにしたり就業時間を固定するなど、条件面での交渉がポイントになります。

②店舗内調剤薬局なら医療用医薬品の知識も得られる
通常のドラッグストアは一般用医薬品のみですが、店舗内調剤薬局があれば処方箋応需も行います。
その場合、発注・在庫管理・処方箋の取り扱い・調剤・服薬指導・記録といった調剤薬局業務が一通り経験できます。点数の見方や算定できる加算も実践の中で身につきます。
店舗によっては、レセコンへの処方入力やアンケート聴取・会計まで薬剤師が担当するところもあるようです。

③配偶者の転勤があっても同じチェーンで続けられる
転職のたびに発生する各種手続き——健康保険・年金・雇用保険・源泉徴収票・マイナンバーなどなど——これが本当に面倒ですよね。同じチェーン内での異動であれば、そういった煩雑な手続きが発生しません。
給与も原則そのまま引き継がれます。そして特に大事なのがこの2点。
店舗が変わってもボーナスはちゃんともらえます!(新卒4月入社だと最初の6月は支給なしですが、継続勤務なら問題なし)
有給休暇のリセットがありません。退職・再入社するたびに10日スタートに戻る、というもったいなさを避けられます。

④残業が少ない
ビビネコはパートで6時間勤務でしたが、残業はほぼありませんでした。サービス残業に悩まされて退職したい……という事態にはならないでしょう。

⑤勤務時間外の会議・薬品説明会がほぼない
病院薬局では頻繁に、調剤薬局では定期的にある会議・薬品説明会ですが、ドラッグストアではほとんどありません。時間外業務が非常に少ないのは、プライベートを大切にしたい方には大きな魅力です。
⑥研究発表・学会発表が強制されない
業務時間外に研究して、論文を書いて……という作業が苦手な方、安心してください。ドラッグストアではそういった義務はありません。希望すれば学会発表も可能ですが、あくまで任意です。

⑦大手だと福利厚生が充実している
ドラッグストアは大手企業が多いため、福利厚生が充実している傾向にあります。ただ……本音を言うと、「その分を給与に上乗せしてほしい」と思う部分もありますよね(笑)。
⑧出世すれば年収1,000万円台も狙える
大手上場企業が多いため、出世・昇格すれば本部勤務・経営職への道が開かれます。年収1,000万円台も不可能ではありません。ただし仕事内容は薬剤師業務から人事・マネジメント業務へとシフトしていきます。

⑨医師・看護師との関わりがなく、精神的ストレスが少ない
通常の店舗では病院関係者と直接やりとりする機会はほぼありません。医師や看護師と話すのが苦手な方には特におすすめの環境です。
店舗内調剤薬局の場合は、処方箋の確認が必要な際に疑義照会を行います。
⑩駐車場代がかからない・除雪不要
郊外の大型店舗やショッピングモール内であれば、無料で駐車場を利用できます。毎月5,000〜8,000円が浮くのは地味に嬉しいポイント。
さらに、駐車場の除雪をしなくていいのも楽です。ドラッグストアは大きな駐車場を持つため、業者と除雪契約を結んでいます。自宅以外でも除雪となると、思った以上に時間と体力を消耗しますから。

⑪一般用医薬品・販売業の知識が実践で身につく
病院や調剤薬局とは比べ物にならないほど多い一般用医薬品のラインナップ。品出しのたびに商品の裏を見るだけでも、自然と知識は増えていきます。
仕入れ・発注では商品の回転具合・売れ筋・利益率など、販売業の基本も学べます。
⑫患者さんに合わせて薬を選んであげられる
処方箋に縛られず、目の前の患者さんの症状や希望を聞きながら薬を選べるのは、ドラッグストアならではのやりがいです。「あの時選んでもらった薬が効いたよ」と後日お礼を言われると、じんわり嬉しくなります。

ドラッグストアで働く11のデメリット
①土日祝関係なくシフト勤務
年中無休の店舗が多いため、週休2日の契約でも「土日必ず休み」にはなりません。連休も他スタッフとのシフト調整が必要です。
ただし店舗内調剤薬局の場合は日曜休みの可能性もありますし、「平日に休みたい」派の方には逆に融通が利きやすい面もあります。
②生活リズムが乱れやすく、長期休暇も取りにくい
営業時間が長いため、早番・遅番のシフトがあります(夜20時まで、という店舗も)。育児中の方は保育園・習い事の送り迎えとの兼ね合いが大変、という声もよく聞きます。
また、スタッフ数が少ないと長期休暇が取りにくい現実があります。面接で「長期有給ぜんぜん取ってもらって構わない」と言われていたのに、実際には誰も取っていない……なんてことも。店長のマネジメントスタイルを事前に確認することをおすすめします。

③薬と無関係な業務が発生する
「強制ではないけど、この期間にクレジット契約を5人以上とりましょう」「キャンペーンでこのハンドクリームを売りましょう」——こういった販促業務が発生します。
「強制じゃないから」と言われても、一般スタッフが一生懸命取り組んでいる中で一人だけ参加拒否はしにくいもの。ビビネコは「じゃあみんなでチャレンジしよう!」くらいの前向き思考で乗り切っていました(笑)。
④力仕事・品出し・売り場づくりもある
重いドリンク剤や大きなオリコン、日用品の品出し——ビビネコはこれで痩せました(今は戻りましたが)。女性スタッフが多いパート・アルバイトの職場でも、自分だけやらないとはいきません。
セール前には値札の準備・交換・POP書きも。「POPは上手さよりもスピード!」の精神でこなしていくうちに、ポスカを使いこなせるようになります(笑)。

⑤白衣(制服)は自分で洗濯
ビビネコが働いていた店舗では、支給された白衣の洗濯は各自で行いました。病院や調剤薬局ではクリーニングが当たり前なので、驚かれる方もいると思います。生地はシワになりにくいので、さほど手間ではありませんでしたが。
⑥薬剤師としてのキャリア形成という面では不利
実際のところ、薬剤師業務は仕事全体の1割程度です。お客さんが薬を希望したときだけ対応するイメージで、忙しければレジ打ちもします。
処方箋枚数が少ない店舗内調剤薬局では、専門薬剤師の資格取得に必要な経験を積むのが難しいのが現実です。e-ラーニングで認定薬剤師を取ることは可能ですが、専門性を高めたい方には物足りないかもしれません。

⑦一人薬剤師だと責任が重くなりがち
「ちょっと確認していいですか?」と気軽に聞ける先輩がいない一人薬剤師の環境は、特に新人には精神的にしんどいです。薬剤師資格を使っている以上、責任は当然生じます。採用面接時に薬剤師の人数を確認しておくと安心です。
⑧医療と無関係なスタッフとの人間関係に気を遣う
医師や看護師との関わりはなくなりますが、一般のパート・アルバイトとの関係はまた別の難しさがあります。給与に大きな差があるため、「あんなに給料もらってるのに」と思われることも。上手く立ち回る処世術が必要になります。
⑨学習・スキルアップの資料は基本自己調達
病院や調剤薬局では当たり前のように置いてある薬学関連書籍(今日の治療薬・治療薬マニュアルなど)が、ドラッグストアにはありません。自分で購入するか、アプリやネットをうまく活用する必要があります。

⑩学会・講演会の参加費も自己負担
総合病院では交通費・参加費が支給されることが多いですが、ドラッグストアでは自己負担が基本です。認定薬剤師の単位取得のために学会に参加したい場合、費用面での計画が必要になります。
⑪一般用医薬品だけでは物足りなく感じることも
これはビビネコの個人的な感想ですが——一般用医薬品は商品数は多くても、成分的には大差ないものが多いです。「この差、正直大して変わらないよな…」と感じる場面が多く、物足りさを覚えました。外用薬は使用感やにおいで好みが分かれるので、患者さんとの会話のきっかけにはなりますが。
結論:ドラッグストア勤務に向いている人はこんな人
- 早く高収入を得たい
- 将来、大手ドラッグストアの運営・人事としてキャリアアップしたい
- 薬剤師以外の医療職とはあまり接点を持ちたくない
- まずは経験として働いてみたい
- 今後、総合病院や大きな調剤薬局で働くつもりはない
- 薬剤師業務以外の仕事をすることに抵抗がない
- 土日休みにこだわりがない
- 家事・育児優先で、無理なくパートで働き続けたい
「仕事に何を求めるか」は人それぞれです。ただ、自分がこの先どんな働き方をしたいのか・どんなキャリアを積みたいのかを明確にしてから選ぶことが、後悔のない転職への近道です。

「ドラッグストアは低い」という空気は、気にしなくていい
業界内では何となく「ドラッグストアは格下」という雰囲気があるように感じることがあります。でもそれは違います。どの業種にも、すばらしい人もいればイマイチな人もいる。仕事内容が違うだけで、優劣はありません。
若いうちにキャリアの軸を決めておくと、後がラク
体力も記憶力も柔軟性もある若いうちは、どんな職場への転職も十分可能です。ただ、年齢を重ねてからドラッグストア→病院への転職は、体力・プライド・新しい環境への適応など、複合的にしんどくなります。
若いうちに病院や激務の調剤薬局で経験を積んでおくのは、後からでも活きてきます。逆にパートで入るなら、年齢は関係なくいつでも大丈夫です。

まとめ
この記事では、転職9回の薬剤師ビビネコが「ドラッグストアで働くリアルなメリット・デメリット」をお伝えしました。
- 正社員の年収が高い
- 店舗内調剤薬局なら医療用医薬品の知識も得られる
- 配偶者の転勤でも同じチェーンで継続勤務できる(ボーナス・有給もリセットなし)
- 残業が少ない
- 勤務時間外の会議・薬品説明会がほぼない
- 研究発表・学会発表が強制されない
- 大手だと福利厚生が充実している
- 出世すれば年収1,000万円台も可能
- 医師・看護師との関わりがなく精神的ストレスが少ない
- 駐車場代がかからない・除雪不要
- 一般用医薬品・販売業の知識が実践で身につく
- 患者さんに合わせて薬を選んであげられる
- 土日祝関係なくシフト勤務
- 生活リズムが乱れやすく、長期休暇も取りにくい
- 薬と無関係な販促業務が発生する
- 力仕事・品出し・売り場づくりもある
- 白衣(制服)は自分で洗濯
- 薬剤師としてのキャリア形成という面では不利
- 一人薬剤師だと責任が重くなりがち
- 一般スタッフとの人間関係に気を遣う
- 学習・スキルアップ資料は基本自己調達
- 学会・講演会の参加費も自己負担
- 一般用医薬品だけでは物足りなく感じることも

- 早く高収入を得たい
- 将来、大手ドラッグストアの運営・人事としてキャリアアップしたい
- 薬剤師以外の医療職とはあまり接点を持ちたくない
- まずは経験として働いてみたい
- 今後、総合病院や大きな調剤薬局で働くつもりはない
- 薬剤師業務以外の仕事に抵抗がない
- 土日休みにこだわりがない
- 家事・育児優先で無理なくパートで働き続けたい
「給与だけ見て転職したら思っていたのと全然違った」「もっと早く知りたかった」——そんな声を何度も聞いてきました。だからこそ、転職サイトには書かれていないリアルな情報を集め、自分のキャリアの軸を持ったうえで動くことが大切です。
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