今や薬剤師の転職は当たり前
今の時代、転職は珍しいものでは無くなりました。薬剤師も過言ではありません。
新卒から同じ職場で働いている人はごくごく一部なのではないでしょうか?
ビビネコも、結婚、夫の転勤により薬剤師歴27年で転職歴9回と多くの職場を経験してきました。
具体的には、
- 総合病院 3件 計14年(調剤業務、製剤業務、IVH調製、TDM、薬剤管理指導業務)
- 美容師専門学校講師 1年(国家試験科目:衛生管理)
- ドラッグストア郊外チェーン店 2年(OTCのみ)
- 調剤薬局 4件 計9年(某チェーン薬局で薬局長1.5年含む)
就業形態も、正社員、臨時職員、契約社員、派遣、パートと様々です。
これまでそれぞれの職場で、若い薬剤師たちの転職、職種に関する悩みの相談にのってきました。
この経験を活かし、今回はドラッグストアで働くメリット・デメリット、そしてドラッグストア勤務に向いている人をそれぞれ紹介してゆきたいと思います。
大手の転職サイトでは決まりきった内容しか分かりませんよね?
ビビネコのブログではそんなサイトでは聞けない、ニッチでリアルな情報を発信します。
このブログをチェックして、後悔しない就職・転職をしましょう!
また、ドラッグストアの詳しい仕事内容を知りたい方はこちら↓↓↓をご覧ください。
ドラッグストアで働くメリット
正社員の年収が高い
ドラッグストアの正社員求人は、同じ地域で比較した際、設定年収が高い傾向にあります。
なんだかんだ言っても、年収が高い事は非常に大きな魅力です。
逆にパート従業員の時給は他と比較してもあまり高くありません。
土日を休みにしたり、就業時間を固定するなどの条件面で有利となります。
調剤薬局併設の店舗であれば、医療用医薬品の知識が得られる
通常のドラッグストアだと一般用医薬品のみの取り扱いですが、店舗内調剤薬局なら処方箋を応需するので医療用医薬品も扱いますよね。
この場合、発注、在庫管理、処方箋の取り扱いや調剤、服薬指導、記録といった、調剤薬局で行う業務が一通りできるようになります。点数の見方、算定できる加算なども実際に分かります。
調剤薬局なら事務員がレセプトコンピューターへの処方入力やアンケートの聴取、会計などをしてくれますが、ドラッグストアでは薬剤師が全て行う店舗もあるようです。
チェーン店が多く、配偶者の転勤などでも継続して勤務できる
転職時に面倒なのが、健康診断、雇用保険、健康保険、年金、離職票、源泉徴収票、扶養控除、マイナンバー、給与振込先等々…の各種手続きです。
転勤先でも同じチェーン店で働けたなら、そのような煩雑な作業は発生しません。
そして、良くも悪くも給与は変わりません。
毎年昇給する正社員なら、そのまま昇給してゆきます。
しかし!
ボーナスが出る正社員の場合、4月入社では最初の6月はボーナス無し、12月から支給。
でも継続勤務なら店舗が変わっても6月にちゃんとボーナスがもらえます!
これは給与所得者には大きな問題です。
そして大事な事!有給休暇を減らさなくて済みます。
通常有給休暇は、初年度は入社後半年に10日程度付与。
翌年以降、一年に取得できる日数が徐々に増えてゆきます。
一度退職するとそれがリセットされてしまい、また10日からのスタートです。
長期勤続者になると、年次有給休暇が25日とか!(100%消化できるとは限りませんが)
仕方ないとはいえ、何となく残念な気持ちになるのは否めません。
残業が少ない
ビビネコはパートで6時間働いていましたが、残業はありませんでした。
他の職員の負担も考慮し、自分から残業を申し出る事はありましたが。
サービス残業がつらくて退職したくなる、という事は無いでしょう。
会議・薬品説明会など勤務時間外の業務が無い
病院薬局では頻繁に、調剤薬局では時々行われる会議・薬品説明会はほとんどありません。
時間外の業務は非常に少ない業種です。この点は非常に楽ですよ。
無駄な会議ほどつらいものはありません。
研究発表・学会発表しなくても大丈夫
研究発表・学会発表を強制されることもありません。
もちろん本人が希望するなら学会発表することはできますし、
発表した方が将来的に昇給、転職時に有利な場合はあります。
しかし、そういった研究を負担に感じる人は多いですよね。
業務時間外に研究して、論文作って…それが強制されないのは嬉しいポイントかもしれません。
大手だと複利厚生が充実している
ドラッグストアは大手企業の事が多いため、福利厚生が充実している傾向にあります。
ただその福利厚生を、世の中の人がどれだけ使いこなせているかは疑問だな、とビビネコは思います。
本音で言うと、そこにお金を使わず、給与に反映してくれた方が嬉しいですよね。
店舗経営・本部人事などの方向にいけば、さらに年収アップできる
大手の上場企業が多いので、出世・昇格すれば本部勤務・経営職への道が開かれます。
そうなると給与もさらにアップして、年収1000万円台も可能です。
しかし、仕事内容は薬剤師業務から事務的業務、人事業務、マネジメント業務へ移るでしょう。
医療人関係での精神的ストレスが少ない
通常店舗で病院関係者と連絡をとる事はまず無いので、医師や看護師と話すのが苦手な方にはおすすめです。
ごくたまにお薬手帳を持参されて、飲み合わせを確認し薬品を販売する事があります。
その時はきちんと確認して販売すれば、特に疑義照会の必要はありません。
店舗内調剤薬局の場合は、処方箋に確認事項があれば、通常通り医師もしくは病院薬局へ疑義照会を行います。
駐車場代がかからない
郊外の大店舗だったり、ショッピングモール内の店舗の場合、無料で駐車場を利用できます。
毎月5千円~8千円が浮くのは嬉しいですね。
また非常に楽なのが、駐車場の除雪をしなくてもよい事。
ドラッグストアは駐車場が大きいため、業者と除雪の契約をしています。
自宅以外でも除雪となると、思ったより時間と体力が消耗します。
一般用医薬品・販売業の知識・スキルが身につく
病院や調剤薬局と違い、一般用医薬品の品数がケタ違いに多いので、
品出し時にちょっと裏を見るだけでも知識はついてきます。
仕入れ、発注では商品の回転具合、売れ筋、利益率など、販売業の基本を学習できます。
自分で薬を選んであげられる
病院・調剤薬局は処方箋に基づいて調剤をするので、当然ですが患者さんにお渡しできる薬は決まっています。
しかしドラッグストアなら、患者さんの症状や希望を聞き、薬を選んであげられますね。
これはドラッグストアで働くときのやりがいの一つです。
場合によっては、患者さんから後日お礼を言われる事もありますよ。
ドラッグストアで働くデメリット
土日祝関係なくシフト勤務
ドラッグストアは年中無休が多いので、週休2日の契約でも土日が必ず休みという事はありません。
連休も、他のスタッフとの相談の上でシフト調整になるでしょう。
店舗内調剤薬局の場合は、日曜休みの可能性もあります。
逆に平日に休みが欲しい場合は、融通がききやすいかもしれません。
シフト制で生活リズムが乱れやすい、長期休暇が取りにくい
営業時間が長いため、早番、遅番があります。夜は20時とか。
この辺は面接では確認した方が良いです。店舗によっては、薬剤師は18:00までなどもあるようです。
看護師のように夜中に働くわけではないので、気にならない方は大丈夫ですね。
育児がある方は、保育園・習い事の送り迎えが大変だと言っていました。
また人数が少ないと、どうしても長期休暇が取りにくい環境になってしまいます。
面接では「長期有給、ぜんぜん取ってもらって構わないから!」
と上の方は言っていたのに、実際には誰もそんな長期取ってないなんて事もあるので注意が必要です。
店舗同士が人を融通して、みんなが順に休暇を取るというスタンスの店長でないと難しいかもしれません。
薬とは無関係の負担がある
薬と関係ない業務がどうしても発生します。
例えば
「強制ではないけど、この期間に提携クレジットの契約を5人以上とりましょう」 とか
「キャンペーンで店舗毎の売上競争をするので、このハンドクリームを売りましょう」 などなど
「私は薬剤師だし、強制じゃないからいいや」
というスタンスでもいけるのですが。
一応、対象職員は全員と周知されていて、
一般のパートやアルバイトが一生懸命取り組んでいるのに、
店舗全体の売上なのに、一人だけ参加拒否。これはちょっとできないですよね。
そんなこんなで参加せざるを得ません。
その点、ビビネコは割と楽観的&前向き体質なので、
「じゃあみんなでチャレンジしよう~!」くらいのノリでやっていました。
力仕事・売り場作り・品出しも行う
力仕事があります。ビビネコはこれで痩せました。(今は戻りました)
重たいドリンク剤、日用品、大きいオリコンを持っての品出し。
パート、アルバイトは女性が多いので、自分だけやらないという事にはなりません。
ドリンク剤の売り場作りもしなければいけません。
セールの前には、値札の準備、交換、POP書きなんかもしていました。
「POPは上手さよりもスピード!」で、どんどんこなさないと終わらなくなります。
POPを書くスキルは身に付きますよ。ポスカ使いこなします。(笑)
白衣(制服)は自分で洗濯
ビビネコの働いていたドラッグストアは、支給された白衣は各自洗濯でした。
生地自体はシワになりにくく、さほど面倒ではありませんでしたが、
病院や調剤薬局ではクリーニングなので、驚かれる方もいると思います。
薬剤師のキャリア形成という面では不利
薬剤師業務は1割くらいです。
ずっと薬局のカウンターに居れば良いわけではなく、薬希望のお客さんが来た時だけ対応するイメージ。忙しい時は普通にレジ打ちもします。
なかなか薬剤師としての知識をつけるのは大変です。
店舗内調剤薬局では、門前にあって処方箋枚数が多いか、面で受けているかによって勉強量は変わります。
処方箋枚数が少なければ、経験を積むのも、専門薬剤師の資格を取るのも難しいです。
e-ラーニングを受講して認定薬剤師をとることは可能です。
一人薬剤師など、責任が重くなりがち
一人薬剤師の場合、分からない事を誰かにちょっと聞く、相談・確認するという事ができません。
でも薬剤師資格を使ってお給料をもらっている訳ですから、責任が生じます。
新人で一人になるのは精神的につらいですね。
医療に関係ないスタッフが多く、人間関係が面倒
医療関係者との接点はありませんが、一般のパート・アルバイトとの人間関係はまた別の大変さがあります。
何せ給料が大きく違います。
沢山給料もらっているのに、全然働いていない(ように彼女たちからは見える)と色々面倒な事が起ここる可能性大。ここは割り切って上手く立ち回らなければなりません。
学習・スキル向上のための資料は、基本自分で用意
病院や調剤薬局では当然のようにある、薬学関連書籍・データ(例えば医薬ジャーナルや調剤と情報・今日の治療薬・治療薬マニュアルなど)がありません。
自分で購入するか、アプリ・ネットをうまく利用して情報収集、学習する必要があります。
学会・講演会等の出席も自己負担
総合病院では、学会・講演会(発表はもちろん、受講だけでも)は交通費・参加費が支給されます。(出ない所があったらすみません)
ビビネコが働いた調剤薬局・ドラッグストアでは、お金に余裕がある個人の調剤薬局だけが領収書を提出したら支給という感じでした。
そもそも出席したくなければ良いですが、認定薬剤師の単位を取りたい場合などは大きい出費になります。
一般用医薬品だけでは物足りなく感じる
これはビビネコの個人的感想です。
一般用医薬品は、メーカー毎に様々な商品を販売しています。が、成分に大差が無いです。
「この程度の量の違い、この成分が入っていようが入っていまいが、大して変わらないだろうな…」
と思う事が多く、正直もの足りなく感じました。
これは内服薬の話ですが、逆に外用薬はニオイや使用感が違うようで、患者さんの好みがあるという印象でした。
結論、ドラッグストア勤務に向いている人
- 早く高収入を得たい
- 将来、大手ドラッグストアの運営・人事としてキャリアアップしたい
- 薬剤師以外の医療職とはあまり接点を持ちたくない
- 経験として働いてみたい
- 今後、総合病院や大きな調剤薬局で働くつもりはない
- 薬剤師とは無関係の仕事をする事に抵抗は無い
- 土日の休みにはこだわりがない
- 家事・育児優先で比較的楽にパートで働き続けたい
結局は仕事に求める条件次第ですが、自分がこの先どのような人生を送ってゆきたいのか、しっかり考えて決めたいところです。
ドラッグストアも、他の職場も、同じようにメリット・デメリットがある
業界では、『ドラッグストアは低めの立ち位置』という雰囲気が何となくある気がします。
しかし、実際にはそんな事はありません。
どの業種にも、すばらしい人もいますし、イマイチな人もいます。要するに個人の問題。
ただ、仕事内容が違うだけです。
とは言っても、ドラッグストアから病院への転職には強い精神力と体力が必要になる
若く、学習意欲も体力もあるうちは、正直どんなパターンの転職も可能だと思います。
しかし、年齢を重ねれば記憶力も体力も衰えますし、プライドもあります(ビビネコはありません)。
経験の無い病院に、ある程度の年齢で正社員として入って、年下の薬剤師の部下になり、当直や休日当番もある…
という状況は結構しんどいです。パートで入るなら、全く問題ありませんが。
逆に、若いうちに病院や、ものすごく忙しい調剤薬局を経験しておくのはおすすめかなと思います。
まとめ
本記事では、『転職系薬剤師が解説!ドラッグストアで働くメリット・デメリット!』と題し、
転職サイトや求人情報には載っていない情報をお伝えしました。
以上の結論を踏まえて転職活動をすれば、皆さんが計画的にキャリアを積み上げ、納得した転職ができると思います。
分からないまま給料だけ見て転職してしまった、こんなはずじゃなかった、もっと早く知りたかった。そうならないよう、本当の情報を集め、しっかり考えて行動する事が大切です。
また、良い条件で転職するためにはなんだかんだ転職エージェントが一番。給与や条件の交渉をしてくれるので、まずは登録してみることをオススメします。
電話は来ますが、強引に転職をせまったり、急がせたりはされません。まずは自分が希望する条件を伝え、どんな求人があるのか確認しましょう。
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