浴衣も素敵ですが、夏の着物はやはり特別美しい!
ワンランク上の着姿ですよね。
基本的に6月・9月には単衣(ひとえ)を、7月・8月には盛夏の着物と言われています。
しかし現在は温暖化の影響で、夏用きものの着用時期も大きく変化しています。まだ7月に入っていなくても、ものすごく暑い時は、我慢せず盛夏用を着ましょう。
では、7月・8月の盛夏用の着物ってどんな着物なんでしょう?
まずは、フォーマル着物とそれ以外に分けて考える必要がありますよ。
一緒に見てゆきましょう。
- 大前提として、結婚式などの式典は礼装、準礼装を着る
- 家や日常で着るなら目安はあっても特に決まりは無い
- 結論!7月、8月に着るカジュアル着物と着物周りの目安一覧!
- まずは体調が悪くならない様、涼しく!を基本に
- 浴衣はカジュアルな場面で着る
- 単衣と薄物の違い
- 着物は絽、紗、紗紬、紋紗、紅梅など薄手の織り方が涼しげ
- 着物の素材は絹、麻(上布も含む)、木綿、綿麻、ポリエステルなど
- 帯は絽、絽つづれ、紗、羅、紗紬、麻、博多帯、絽塩瀬だと間違いない
- 半衿は絽、麻、レース、色柄木綿の中から選ぶ
- 長襦袢は絽、紋紗、麻のどれか
- 帯締めは何でも大丈夫だが、最近は夏組みが使われることが多い
- 帯揚げは絽、紗が涼しげ
- 夏着物、涼しく着るために便利な物
- まとめ:日常着物は何を着ても良い!でも目安が欲しいなら
大前提として、結婚式などの式典は礼装、準礼装を着る
洋服でも、結婚式にジーンズやTシャツで行く人は居ませんよね?着物もそれと同じです。
着物であれば全て結婚式に着られるという訳ではなく、きちんとした礼装用の物があります。振袖、留袖、訪問着、紋付の色無地や江戸小紋で織り方は絽。素材は絹かポリエステルが適しています。
その式典にふさわしいものを選ばなくてはなりません。ここはしっかりと押さえましょう。
家や日常で着るなら目安はあっても特に決まりは無い
その大前提を押さえた上で、日常の着物をどうするか。
6月の着物の解説記事でも言いましたが、日常に自分のために着るものは、特に決まりはありません。
その時の気分や天気、気温、によって好きなように着て大丈夫です。
ただ、着物にちょっと詳しい人がいろいろ言ってくるかもしれません。その時は、笑顔でかわしましょう。その方には何も迷惑をかけていませんからね。
そうは言われても、基本が分かっていないと不安で…
そんな方のために、一覧を作ってみました!
結論!7月、8月に着るカジュアル着物と着物周りの目安一覧!
着物の織 | 絽・紗・紗紬・紋紗・紅梅 |
着物の素材 | 絹・麻(上布)・木綿・綿麻・ポリエステル |
帯 | 絽・絽綴れ・羅・献上博多・絽塩瀬・半幅帯全般 |
半衿 | 絽・麻・レース・色柄木綿 |
長襦袢 | 絽・紋紗・麻 |
帯締め | 決まり無し(夏組を選ぶ人が多い) |
帯揚げ | 絽・紗 |
好きな物を着て良いという事に変わりはありませんが、
「落ち着かないから決めて~!」という方は、上の表を参考にすると間違いありませんよ!
夏物の素材や織には沢山の種類があって、混乱しますね。順を追って説明してゆきます!
まずは体調が悪くならない様、涼しく!を基本に
7月、8月といえば、夏真っ盛り。現代の日本では40度に迫ろうかという気温の日もあります。着物は肌着や長襦袢などを重ね着するので、どうしても暑くなりがち。
なので、まずは体調を一番に考えて着るものを選びましょう。お出かけ先に冷房があるかどうかもあらかじめチェックしましょうね。
浴衣はカジュアルな場面で着る
浴衣はカジュアルな普段着です。
しかし、着物と違い中に長襦袢を着る必要が無く、足袋も必要ないので着物より涼しくて夏にはうってつけ。着られる場所ならどんどん着ておでかけしましょう。
単衣と薄物の違い
ここからは、夏に浴衣ではなく着物を着る時に目安になる内容を解説します。違いを知った上で着物を選べたら怖い物はありませんね!
単衣(ひとえ)は6月、9月
袷。裏全体に胴裏と言われる布が付いています
単衣。裏が付いているのは一部で、一枚で仕立てられています。表地は袷に使うのと同じ生地が使われます。
単衣とは、裏地を付けずに仕立てた着物で、透けない生地のものを言います。裏地を付けて仕立てた着物は「袷(あわせ)」と言って、10月~翌5月までの寒い時期に着る着物。
今持っている着物を見て頂いて、布が二枚重なっていなかったら単衣です。一枚になっている分多少涼しく、軽い仕上がりになっています。
薄物(うすもの)は7月、8月
単衣と同じく裏地を付けずに仕立てた着物ですが、透ける生地のものを言います。
後ほど出てきますが、絽(ろ)や紗(しゃ)、紗紬(しゃつむぎ)、紋紗(もんしゃ)、紅梅(こうばい)という織り方の生地がこれに当たります。
着物は絽、紗、紗紬、紋紗、紅梅など薄手の織り方が涼しげ
夏着物にも、織の種類が沢山あります。
フォーマルは絽のみ、カジュアルの方が選択肢が多くなっています。
絽(ろ)
絽目(ろめ)と呼ばれる定期的に隙間が作られた透ける生地です。その中にも、経絽(たてろ)や横絽(よころ)、平絽(ひらろ)、駒絽(こまろ)など、様々な種類があります。
絽目以外の部分が平織になるので、次で紹介する紗(しゃ)よりも透ける部分が少なくなります。
紗(しゃ)
絽よりもさらに透け感のある夏用生地です。もじり織という技術で織られ、糸同士の間に隙間が多く透けているのが特徴です。通気性が良く、涼しい織り方です。
こちらは東レ「シルジェリー」の洗える紗の着物。絹と見分けがつかない完成度ですね。
夏の着物は洗えるものが実は便利なんです。参考に載せておきますね。↓↓↓
紗紬(しゃつむぎ)、夏紬(なつつむぎ)
紗の中でも、紬糸を使った物を紗紬、夏紬と言います。紬糸(つむぎいと)とは、蚕の繭から糸を取る時の違いで生糸(きいと)と区別されます。
生糸を使った生地はツルリとしていますが、紬糸を使った布は少しザラツキのある生地で、絽とはまた違う趣があって素敵ですよ!
こちらの「みやがわ」さんは、ビビネコも購入した事があります。新品、新古品、中古品を扱っていて、どれもお値段に対して品質が良いです。
紋紗(もんしゃ)
紗の中でも、柄を入れて織ってあるものを紋紗と言います。地紋が浮かび上がり、レースのように透けているので、華やかで涼しげな印象になります。
紅梅(こうばい)
ビビネコは持っていないので、ネット販売されている物をのせますね。
涼しげで、上品!美しい!絹紅梅 松煙染の反物↓↓↓
格子状に凹凸を作って織られたものを紅梅織(こうばいおり)といいます。
見た目、ワッフルのような生地ですね。凹凸があるので、肌に張り付きにくく、さらりとした夏向きの生地です。
格子のマス目部分には太い綿の糸が使われています。細い糸の間に太い糸を織り込み、太さの異なる糸をタテ糸とヨコ糸に使うことで、格子状の凹凸を作っています。
凹凸(イコール勾配)の段差ができることから、勾配(こうばい)がつく、➡紅梅(こうばい)
というように、名づけられているそうです。
綿紅梅(めんこうばい)は綿100%、絹紅梅(きぬこうばい)は太糸のみ綿で細糸が絹の混紡です。
着物の素材は絹、麻(上布も含む)、木綿、綿麻、ポリエステルなど
カジュアルな夏着物の場合、素材も選択肢が多くなります。
涼しさ、肌触り、お手入れのしやすさで好みのものを選びます。
帯は絽、絽つづれ、紗、羅、紗紬、麻、博多帯、絽塩瀬だと間違いない
帯も、織方が沢山あります。博多織以外は透け感が強く涼しげ、実際に風通しの良い織になっています。
絽綴れ(ろつづれ)
張りのあるつづれ地に絽の隙間が入った帯地で、仕立ては芯の入らない八寸名古屋仕立てになります。金銀糸を使った格調高いものは、フォーマルにも使用できます。
羅(ら)
網のように粗い目に織られた織物です。スケスケで風通しが非常に良い。帯芯が入らない八寸名古屋帯に仕立てられます。
有名なものは人間国宝が織られたものなどもあります。(ものすごい高額)
こちらの帯は正絹なのにすごく安い!普段に締めるなら、とてもお買い得かもしれません。↓↓↓
献上博多帯(けんじょうはかたおび)
博多帯にも袷と単衣の時期に締める厚手の「紋織」と夏のみの「紗献上」、一年中締められる「献上博多帯」があります。
この献上柄というのが、「独鈷(どっこ)」と「華皿(はなさら)」が模様として入ったものを言い、季節を選ばないので非常に使い勝手が良いです。
ちなみに、博多の紋織でも、半幅帯なら一年中OKです。
絽塩瀬(ろしおぜ)
絽目の入った塩瀬生地で、九寸名古屋帯に仕立てられます。
こちらは、絽塩瀬の帯地に江戸紅型が染められた帯。ちょっと粋な感じも持ちつつ、可愛らしい!
半衿は絽、麻、レース、色柄木綿の中から選ぶ
爽竹長襦袢。絽の身頃に絽の半衿が最初からついています。
きもの都粋の「ひみつの半襦袢デラックス」。筒袖、レースの半衿で一年中使えて便利です。(透ける着物の時は、袖に専用のうそつき袖を付ける必要があります)
レース、色柄木綿は夏以外にも通年使用できて便利です。レースも素材が木綿なら、汗で汚れても気兼ねなくお洗濯できますよ。
長襦袢は絽、紋紗、麻のどれか
フォーマルなら「絽」一択ですが、カジュアルならお好きな物を選んで構いません。
お着物の織方や、その日の気温に合わせても良いですね。
帯締めは何でも大丈夫だが、最近は夏組みが使われることが多い
最近は、呉服屋の店頭でも涼しげな夏組を売っていますが、実は夏組を使わなければならないという決まりはありません。色合いや太さで夏らしさを表現するのも良いですね。
こちらはビビネコも購入した、一年中使える細目の帯締め。
夏はさっぱりした着物や帯が多いので、細くアクセントカラーを入れるとコーデが引き締まりますよ。
帯揚げは絽、紗が涼しげ
帯揚げは、あれば絽目が入ったもの、透け感のある紗が涼し気ですね。持っていなければ、薄手のもので大丈夫です。
この絶妙な色合いが実はとても合わせやすいです。安いものを買うならこの中から一枚買った方が良いですよ。↓↓↓
夏着物、涼しく着るために便利な物
少しでも涼しく着物を着るために便利な物をまとめた記事がこちらになります。
もし取り入れていないものがあったら試してみて下さいね!
まとめ:日常着物は何を着ても良い!でも目安が欲しいなら
以上、7月・8月に着る着物について、カジュアル着物という前提で解説しました。
まとめると、
基本的には、日常着物は自分が快適なら何を着ても良い。
ただ、目安として夏に適しているものを挙げるなら、以下の一覧になります。
着物の織 | 絽・紗・紗紬・紋紗・紅梅 |
着物の素材 | 絹・麻(上布)・木綿・綿麻・ポリエステル |
帯 | 絽・絽綴れ・羅・献上博多・絽塩瀬・半幅帯全般 |
半衿 | 絽・麻・レース・色柄木綿 |
長襦袢 | 絽・紋紗・麻 |
帯締め | 決まり無し(夏組を選ぶ人が多い) |
帯揚げ | 絽・紗 |
迷うようなら、上の表を参考に選んでみて下さいね。
こんなに沢山あって、覚えられないし、いちいち確認できないよ~
という方は、見た目に涼しそうなものを選べば大丈夫です。
自分が「夏らしくて素敵だな」と感じるものを選んで、自由に着物を楽しんで下さいね!
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