- ドラッグストアの薬剤師の仕事って本当はどんなことしているの?
- お給料高いみたいだし、興味はあるんだけど…
- 土日とか休みってどうなっているの?
こんな疑問に、ドラッグストアに勤務していたビビネコがお答えします。
求人票では細かい業務内容はわかりません。そして転職サイトやエージェントだって、実際に勤めた経験が無ければ具体的なところはわからなくて当然です。
ではどうするか。それは、実際に勤めていた人に聞くのが一番確実です。この記事では、他のサイトには載っていない本当の現場の仕事、人間関係、お金について、全てを公開しています。
- ドラッグストアに勤めるか迷っている薬学生
- 転職先としてドラッグストアを検討している薬剤師さん
- パートで復帰しようとしているママさん薬剤師
こんな方にぜひ読んでいただきたい。そして、後悔のない就職、転職にしてもらえたらと思います!
ドラッグストアで働くメリット・デメリットを解説した記事も時間のある時にどうぞ。
【調剤薬局併設】ドラッグストアの仕事内容
処方せん調剤、疑義照会、投薬、レセコン入力
こちらは調剤薬局と同様のお仕事。調剤薬局のレセコン入力は医療事務が行いますが、ドラッグストアでは薬剤師が行う場合があります。
求人の「仕事内容」に「簡単なレセコン入力」とあれば、その業務にあたると考えてください。レセコンの種類や、加算をどの程度シビアに取っているかにもよりますが、点数については多少の勉強が必要になります。
逆に調剤薬局勤務経験があり、点数の取り方が分かっていると即戦力として重宝されます。年収の交渉も有利!
薬品の調剤、疑義照会、投薬などは他と変わりません。
調剤薬局内の薬品発注、荷入れ、在庫、期限管理

調剤薬局内の医薬品の発注、荷入れ等を行います。
受けている処方せん枚数が少ない、広域で処方せんを受けている、一人の患者さんのために用意している薬剤が多数あるなどの場合、薬剤の在庫管理の難易度が上がります。薬品の回転が悪くなり、月当たりの在庫率も上がります。いつも来ている患者が他の薬局に行くと、その患者のためだけの薬品が封を切られた状態で残ってしまう事も!
他の店で使用してもらえれば良いですが、動いている店舗が無ければ期限切れ廃棄になり、損失が出ます。またそのための店舗検索や送薬の作業は、思っているより時間が取られます。
薬品の在庫金額、廃棄による損失は店舗の売上や利益の圧迫になるため、重要な管理項目です。
一般用医薬品の発注、荷入れ、在庫、期限管理
一般用医薬品の管理はさほど難しくありません。
本部とメーカーとの契約で、季節ごとに自動的に送られてくる商品もあります。売り場を作成して並べたり、季節終わりに返品作業をします。
発注は大手ならハンディ端末とパソコン。在庫数は薬剤師が管理します。
在庫・期限管理では使用期限を適宜確認し、期限切れを販売しないよう返品します。一般用医薬品は箱単位で販売するため返品が可能。期限チェックが機能していれば廃棄、損失は出ません。
一般用医薬品売り場の売り場作成、POP作成、値札変更
後ほど詳しい解説をしますが、OTC売り場の作成、POP作成、値札の変更を行います。
【OTCのみ】ドラッグストアの仕事内容
一般用医薬品の発注、荷入れ、在庫、期限管理
調剤薬局併設薬剤師と同じように一般用医薬品を管理します。
売り場、POP作成

医薬品、時には一般の商品の売り場を作ります。
例えば春の花粉症の季節に入るとき。店としては、花粉症に関わる薬やマスクなど様々な物を売りたい。そこでこういう作業をすることになります。
- 売り場の一角を「花粉症対策コーナー」として場所を確保
- 花粉症の飲み薬、点鼻薬、目薬、マスク、鼻うがい用品、目の洗浄薬、高級ティッシュ、鼻まわりが荒れたとき用の軟膏などを集める
- 商品の空き箱(メーカーに頼んで送ってもらう)を使って立体的に展開
- 画用紙や大きな紙に自作した大きなPOPをかかげる
- 100均で仕入れた造花などで飾る
本社から専用のPOPが送られてきた場合はそれを使いますが、売り場に対してPOPが小さいかったり、今一つ目立たない、もっと大きく展開したいなどの時は、積極的にPOPを作成しなくてはいけません。
売上に関わる事なので、こういった作業を時期ごとに何度も行います。企画、デザイン、イラスト、工夫などが得意な方に向いています。
値札作成、変更、付け替え

ドラッグストアは月に何度か特売を行います。この時値札を変更する作業があります。
チラシが入る約一週間前に特売商品の値札が各店舗に送られてきます。チラシ掲載商品の全ての値札を変更するのですが、一つの商品がさまざまな場所に!
例えば、通常の棚と、「島陳列」と言って、別にテーブルや什器(じゅうき)を置いて関連商品を山積みにしたもの。「エンド陳列」といって陳列棚の両端に出されている商品もあります。レジの近くに下がっていたりもします。
これを確認しながら値札を必要枚数揃え、足りないものは自分達で書きます。
また配布された値札と値札ケースのサイズが違う場合は書き直しが必要。売り場には様々な大きさの値札と値札ケースがあるのです。
チラシ配布日の前日に、一斉に用意しておいた値札を手分けして付けます。
ビビネコがいた店舗ではケースが値札を挟み込むタイプだったため、一度棚から外して紙の値札を差し込み、再度棚に付ける作業が必要でした。
このチラシ前の数日間にシフトに入る人が少ないと、品出しも値札の取り換えも特売当日までに間に合いません。そうすると必然的に誰かが残業になります。
特売当日に値札が変更になっていないと、お客さんから「チラシでは安くなっているはずなのに、値段が違う」とクレームが入ってしまうので大切な作業なのです。
レジ打ち

医薬品のレジだけ担当、とはなりません。人が少ない日や休憩に入っている場合、一般のレジにも入ります。
レジ打ちはバーコードを通すだけなので簡単。ただ決済方法が多様化しており、対応できずモタモタすると「使えない人」になります。
また「〇〇%引き」とか、「〇点で半額」など手入力で価格変更する場合は注意が必要。間違ったまま会計終了、指摘を受けて返金となると非常に手間がかかります。
特にクレジット決済で間違うと、訂正処理がかなりの手間と時間になるので要注意。かといって、それが嫌だからレジはやらないとなると、今度は他の職員と上手くいかなくなります。
店長兼務の場合の仕事内容
シフト調整、有休管理
正職員、パート社員、アルバイト、と様々な職員がいます。それを考慮して朝から夜遅くまでの長い営業時間のシフトを組みます。
パートは働く時間が短く大抵日中だけ。ドラッグストアは営業時間が9:00~22:00など長く、正社員とアルバイトだけで夜間営業を回さなくてはいけません。必然的に店長や正社員は「昼過ぎに出勤、最終まで勤務」になりがちです。
また土日も営業があるため、休みは慎重に調整する必要があります。特定の職員ばかり土日に休みが当たっていると不満が出ますし、急な休みにも対応しなければなりません。代われる人が居なければ、最終的には店長が対応することになります。
売上管理

ドラッグストアは小売業なので、売上管理が必要です。他店舗の売上や自店舗の順位などシビアなデータが全店で共有されるため、ただ店舗にいれば良いとはなりません。売上を伸ばすための対策をとる必要があります。
それぞれの店舗の特性、例えば繁華街にあるのか、夜の街にあるのか、郊外の住宅地にあるのかだけでも販売する商品、売上の伸ばし方は変わってきます。店長はそういったことも考え、方針や対策を練ります。他の職員、正社員だけではなく、パートやアルバイトにも指示して店舗を育てなければいけません。
在庫、現金管理
店内には非常に多くの商品があり、その管理も店長の役目になります。
病院薬局、調剤薬局の内部には職員しか入れませんが、ドラッグストアはお客さんが自由に出入りします。そのため注意していても万引きが発生します。その防止のために店内を巡回し、店舗の実在庫とデータ上の在庫に不審なズレがあれば報告書の作成や在庫の調整処理をします。
レジの現金は、一日に何度か現金実査(レジの現金に過不足が無いか数えて確認する作業)をします。おつりの受け渡しで間違いがあった場合、ここで発覚します。過不足があった場合には、その原因究明もしなければいけません。
最近はこういった実査作業の効率化、釣銭間違いが起こらない自動釣銭機を導入している企業もあります。また、まれに職員による現金等の盗難も起こるので、色々な面から注意が必要です。
本部・他店舗との会議、研修

定期的に本部や他店舗との会議、研修があります。ここで、様々な指示がなされます。
クレーム対応、店舗管理
通常の些細なクレームであればパート職員やアルバイトも対応しますが、対応困難な場合や重大な事由の時には店長が対応します。
そういった対応マニュアルは大抵用意されています。しかし不測の事態全般は最終的に店長、さらにそのエリアを管轄するエリアマネージャーで対応します。
まとめ
どうでしたか?ドラッグストアで働く薬剤師の仕事内容、想像通りでしたか?内容をまとめましょう。
- 処方せん調剤・疑義照会・投薬・レセコン入力
- 調剤薬局内の薬品発注、荷入れ、在庫・期限管理
- 一般用医薬品の発注、荷入れ、在庫・期限管理
- 一般用医薬品売り場の売り場作成、POP作成、値札変更
- 一般用医薬品の発注、荷入れ、在庫、期限管理
- 売り場、POP作成
- 値札作成、変更、付け替え
- レジ打ち
- シフト調整・有休管理
- 売上管理
- 在庫、現金管理
- 本部・他店舗との会議、研修
- クレーム対応、店舗管理
結果、ドラッグストアで働くには、
- 調剤薬局で働けるスキル
- 販売業のスキル
- (店長候補の場合)マネジメントスキル
が必要だという事がわかります。これは正社員だろうとパート職員であろうと同じ。しかし、「今現在、販売業スキルなど持っていない」という場合でも、入社してからスキルを身に着け、実績を積み上げてゆくことは十分可能です。むしろそのパターンの方が多いです。
「調剤薬局と同じような内容であまり忙しくなく、高いお給料が欲しい」と考えて就職すると、後悔する可能性が高い。
結局のところ、楽に稼げる仕事はありません。しかし、病院、調剤薬局、ドラッグストアそれぞれに必要とされる条件やスキルが違うからこそ、自分に合った働き方を選べます。よく考え、しっかりリサーチして後悔のない就職、転職にしましょう。
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