夏の着物は見た目に涼しく、着ている人は暑い
夏の着物や浴衣、素敵ですよね。
ビビネコも夏に着物を着ていると、「あら~、涼し気でやっぱり着物は良いわね~」なんて知らない方から声を掛けられたりします。
しかし実際には…着ている本人は「暑い」。
透けないように、肌着、長襦袢を重ね着しているし、帯を巻いているからお腹部分は汗だくです。
正直、夏は何を着ていても暑い。なので、着物を着ていて涼しくするといっても限界があります。
しかし、熱中症になっても大変ですし、最近では快適に過ごすための良い商品もあります。周りの方には涼を届け、自分はできる暑さ対策を全力でする。このスタンスで皆さん頑張りましょう!
今回は、前半、後半に分けて解説します。
- 前半 麻など洗える着物の場合の 暑さ対策
- 後半 正絹の着物の 汗・暑さ対策
どうしても、涼しい着付け小物を購入しようとするとお金がかかります。なので、皆さんできる所、優先したい所から取り入れて頂けると良いかなと思っています。
では具体的に見てゆきましょう!
麻・洗える素材の着物に使える、最強の暑さ対策9選
①着物を涼しい素材、洗える素材にする
そもそも、着物自体を風通しの良い、肌に貼り付かない素材にする方法です。
また、洗える着物なら、汗じみを気にしなくてよいため、中に着るものを少なくする、薄くする事もできます。
では、素材にはどんな種類があるのか。手に入りやすいものを挙げてみました。
涼しさ | 価格の高さ | 洗い方 | 脱水(絞らない) | アイロン | |
麻(上布) | 手洗い 洗濯機ドライモード | ごく軽く 1分程度 | 必要なら乾ききる前に高温で | ||
木綿(浴衣) | 手洗い 洗濯機ドライモード | 1分程度 | 必要なら高温で | ||
ポリエステル | ネットに入れて洗濯機 | 通常と同じ | 基本不要 掛けるなら中温 | ||
綿麻 | 手洗い 洗濯機ドライモード | 1分程度 | 必要なら乾ききる前に高温で |
この表を見て頂いてお分かりの通り、何といってもやはり「麻」が一番涼しいです。
着物の袖口が汗で腕に貼り付く事もありませんし、風通しも抜群。水で洗えますし、透け感が涼し気。まさに夏の素材ですね。
難点は値段が高い事、着ていてシワができやすい事、硬い生地感のものは体格が良く見えてしまう事ですね。リサイクルなどでまず一枚、お手頃のものを手に入れ、試しに着てみると感覚がつかめて良いと思います。
ちなみに、上布(じょうふ)とは、普通の麻よりも細い糸で織られた、麻織物の中でも上等のものです。
木綿は、浴衣が代表的ですが、着物でも木綿でできたものがあります。着物通の方が普段着としておしゃれに着こなしていたりします。
ポリエステルは、現在様々な素材が作られています。上等の物は、セオアルファに代表される着物で、洗濯もできてシワになりにくく、絹と変わらない風合いです。夏場に頻繁に着物を着たい時は、非常に重宝します。
逆に、安いポリエステルの着物には注意が必要です。静電気がひどい、風合いがいかにも化学繊維っぽい、生地が滑りやすく、着崩れしやすいなど、実は使いにくかったりします。
②長襦袢・半衿を麻にする
長襦袢、半衿を麻にするだけでもかなり体感は違いますよ。
絶妙に生地が体に沿わず、肌に貼り付かないのでかなり快適です。ただし人によっては、体に沿わない感じ、ゴワつく感じが苦手という方もいます。
安い製品は特に、厚手でゴワゴワする場合があるので注意しましょう。理想は良質、薄手の麻の反物を、マイサイズにお仕立てになりますが、最初はプレタの麻長襦袢でも十分だと思います。
③麻のステテコをはく
ステテコを履くだけで太もも間の汗を取って足さばきを良くしてくれますが、さらに麻製だと涼しさが格段にアップします。
洗濯機でジャブジャブ洗えてすぐ乾き、夏場にはうってつけです。値段が高いのが難点ですが、良い製品のものを買えば丈夫で長持ちします。
こちら↓↓↓にオススメのステテコを載せていますので良ければご覧くださいね。
④肌襦袢を麻、もしくは綿楊柳にする
肌襦袢をガーゼタイプから、肌に貼り付かないものにすると涼しくなります。
麻が一番涼しいのですが、肌荒れする事があるので綿楊柳が良いでしょう。補正や汗取りは必要に応じて追加します。
帯も洗える素材なら汗取りは最低限で構いません。ただ、ウエストが細いとどうしても補正が必要になります。
その時は、タオル類は非常に熱がこもりやすいので、涼しさを優先するなら麻ワタを使用した補正肌着がおすすめです。
ビビネコがおすすめする、麻ワタ使用の補正肌着に関する記事はこちら↓↓↓
⑤麻の腰ひも、伊達締め、もしくは紗織の正絹伊達締めを使う
暑い時には、紐一本でも減らしたい!そう考える方も少なくありません。そしてその紐一本さえ涼しくしたいなら、腰ひも、伊達締めも麻のものが販売されています。
ただし、麻の伊達締めは締める時に滑りが悪く、使い方にコツが必要です。一度締めてしまえば、滑らないため着崩れはしにくいのですが。ビビネコは扱いきれずに断念しました。
興味のある方は、こちら↓↓↓からご覧になってみて下さいね。
個人的には、締めにくい麻の伊達締めよりも、夏用の紗で織られた正絹博多織の伊達締めがおすすめです。洗濯できないと書かれていますが、ビビネコはおしゃれ着洗剤で洗濯機で洗っています。多少ツヤは無くなりますが普通に使えています。
⑥メッシュ・自然素材の帯板・帯枕を使う
帯板はメッシュのものか、ヘチマ素材がムレません。帯枕も、メッシュ、ヘチマのものが販売されています。これらは夏以外でも一年を通して使用できます。
帯枕のおすすめ記事はこちら↓↓↓
⑦足袋を麻製にする
足袋は、皆さん夏はサラシ、冬はネルで使い分けされていると思いますが、普通の綿ではなく、麻の足袋を使用された事ありますか?
これが非常に快適なので、ぜひ皆さんに使って頂きたい!足袋の裏面だけが綿で、あとは麻製。全く蒸れず、べたべたしなくてとても快適です。
他の足袋と比較するとお高めではありますが、暑さが苦手な方には強くおすすめします!
ただ同じ麻製と書かれていても、異常に安くて縫製や糸の品質が劣るものは、履き心地と持ちが違ってきます。日本製のしっかりした製品を買いましょう。
この製品はビビネコ愛用で、品質が良いのを保証します。現在はこちらが最安のようです。
⑧日傘を使う
着付け用品ではありませんが、屋外に出るならば、日傘があるのと無いのでは体感がかなり違います。お好みのものを使いましょう。
\こちらはおすすめの日傘のレビュー記事/
⑨シャツクールをインナーに使う
洋服用ですが、インナーに使う分には問題ありません。少しでも涼しく過ごしましょう。
正絹の着物の優先順位は①汗対策②暑さ対策
正絹の着物の場合には、暑さ対策の前にまずは汗対策が必須となります。
正絹に汗がしみてしまうと、時間がたってから黄色く変色したり、輪じみが出てきたりしてしまいます。
汗は普通のクリーニングでは落ちないため、高額な汗抜きのクリーニングに出さなくてはいけません。そうならないために汗対策をして、その上で、暑さ対策も行いましょう。
たかはし着物工房 くノ一麻子
麻ワタ入りで、補正しつつも涼しく、防水布付きで着物や帯に汗じみを作らない優秀肌着。正絹の着物には超おすすめ。特に、上半身が華奢で補正が必要な方には必需品!
レビュー記事はこちら↓↓↓
あしべ汗取り肌襦袢
昭和初期に発売され、いまだ人気の超ロングセラー商品。お腹周りの汗をしっかり吸ってくれて、汗じみを予防してくれる。普段から補正があまり必要ない方におすすめ!
レビュー記事はこちら↓↓↓
たかはし着物工房 満点シリーズ
たかはし着物工房の満点シリーズは、背中や脇下、腰回りからひざ下まで防水布が付いているので、背中、腰回り、正座した時のお尻、足の汗が着物に染みません。まさに完全防備!
こちらは、満点ガードル裾除けのレビュー記事になります↓↓↓
制汗製品を使う
そもそも、あまり汗をかかないようにしてしまうのも一手ですね。
個人的には、レセナが一番汗を抑えてサラサラが継続する気がします。なかなか店頭に売っていないのですが。
長襦袢は絽の半衿付き爽竹
かしこまった場所に正絹の着物を着る時は、麻の長襦袢というわけにはいきません。その場合は、涼しくてお手入れも楽で着姿が美しい「爽竹の長襦袢」がおすすめです。
詳しい内容はこちら↓↓↓
正絹でも、紬の時は、麻の長襦袢で大丈夫ですよ!
足袋、ステテコ、腰ひも、伊達締め、帯板、帯枕は麻・メッシュなど
見えない部分、決まりが無い物、汗じみに関係ないものは、麻やメッシュを使って少しでも涼しくしましょう。
まとめ
以上、夏着物を着る時の暑さ、汗対策について解説しました。
結論として、涼しく過ごすための質の良い商品がどれか、そしてどれを利用するかの判断ができれば、夏着物も快適に着られるのではないかなとビビネコは考えています。
最近では画期的な素材や商品が開発されていますので、そういったものの情報をすばやくキャッチし、上手に利用しつつ、この温暖化の日本ですばらしい日本文化である着物が沢山の方に着てもらえると良いなと思います。
なかなか個人で全てを試すというのは難しいですよね。ビビネコは着物を着る機会が多いので、可能な限りそれを試し、皆さんに発信してゆきたいと思っています。
ぜひお気に入りを見つけて、着物をエンジョイして下さいね!
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